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職場で安心を得るために:LGBTQ+当事者が知っておきたい企業内メンタルヘルス支援(EAP・産業医)の活用

Tags: メンタルヘルス, 職場, 企業内支援, 相談先, EAP, 産業医

職場のストレスと心身の健康:企業内メンタルヘルス支援を知る重要性

日々の業務や人間関係、将来への不安など、職場は多かれ少なかれストレスを感じる場です。特にLGBTQ+当事者の方々にとって、職場でのカミングアウトの悩み、マイクロアグレッション、無理解や偏見による孤立など、固有のストレス要因が存在することがあります。これらのストレスが蓄積すると、心身の健康に影響を及ぼし、仕事のパフォーマンス低下や日常生活の困難につながることもあります。

「心身の不調を感じているが、どこに相談すれば良いか分からない」「専門家への相談には抵抗がある」「誰かに話を聞いてほしいが、職場の人には話しづらい」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

そういった時に、実は企業内で利用できるメンタルヘルス支援が存在することがあります。この記事では、LGBTQ+当事者の方が職場で安心して心身のケアを行うために、企業が提供するメンタルヘルス支援の種類と活用方法についてご紹介します。

企業で利用できる主なメンタルヘルス支援

多くの企業では、従業員の心身の健康をサポートするために様々な制度を導入しています。その中でも代表的なものをいくつかご紹介します。

1. EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)

EAPは、従業員が抱える様々な問題を解決するための外部相談窓口サービスです。仕事上の悩みだけでなく、プライベートの悩み(人間関係、家族、経済的な問題、健康問題など)についても相談できます。

2. 産業医・産業保健師

企業には、従業員の健康管理を専門とする産業医や産業保健師が配置されている場合があります。健康診断後のフォローアップだけでなく、メンタルヘルスの相談にも対応しています。

3. 社内相談窓口・ハラスメント相談窓口

企業によっては、社内に専門の相談員が常駐する相談窓口や、ハラスメント、人間関係の悩みなどを相談できる窓口を設置しています。

LGBTQ+当事者が企業内支援を利用する際の懸念と対応策

企業内支援の利用を検討する際に、LGBTQ+当事者ならではの懸念があるかもしれません。

具体的な利用ステップと注意点

企業内メンタルヘルス支援を利用する際の一般的なステップと注意点です。

  1. 制度の確認:
    • 自社にどのようなメンタルヘルス支援制度があるのか、会社のイントラネット、就業規則、福利厚生に関する資料などで確認します。EAPの連絡先や利用方法、産業医の面談予約方法などが記載されています。
  2. 連絡・予約:
    • 利用したい窓口(EAP、産業医、社内相談窓口など)に連絡し、相談を申し込みます。予約が必要な場合が多いです。
  3. 相談の実施:
    • 予約した日時に相談を行います。話したいこと、困っていること、どうなりたいかを事前に整理しておくと、スムーズに相談できるかもしれません。
  4. その後のフォロー:
    • 相談後、必要に応じて継続的な相談や、医療機関への受診勧奨、職場への配慮要請などが行われる場合があります。

利用時の注意点:

もし企業内支援が難しい場合

企業によっては、十分なメンタルヘルス支援制度が整備されていなかったり、制度があっても利用しづらい雰囲気があるかもしれません。あるいは、個人的な理由で企業内支援を利用したくない場合もあるでしょう。

そういった場合は、外部の相談窓口を積極的に活用することを検討しましょう。

「にじいろメンタルケア」サイトでは、こうした外部の安心できる相談先リストも提供していますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ:一歩踏み出すことが、心を守る力になる

職場での心身の疲労を感じているLGBTQ+当事者の方にとって、企業内メンタルヘルス支援は、比較的アクセスしやすい最初の相談先となり得ます。EAPや産業医、社内窓口といった様々な形があり、多くの場合、プライバシーは保護され、無料で利用できます。

利用する際に不安を感じるかもしれませんが、これらの制度は従業員が健やかに働くためのものです。自身の心と体を守るためにも、まずは自社の制度を確認し、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

もし企業内支援が難しい場合でも、外部には様々な相談先があります。「一人で抱え込まない」という選択肢があることを知り、安心できる場所へ一歩踏み出すことが、心を守り、自分らしく働くための力となるはずです。